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仏師 金丸悦朗の挑戦

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追求し続けた いのち・エネルギーの表現

迦楼羅 ( カルラ ) 《 風 》  ①



◎◎ 五百羅漢だけをご覧になりたい方は 右側のカテゴリの欄で 《五百羅漢》を お選び下さい。


《 金丸作品と共に・・ 》


* *  迦楼羅 ( カルラ )   《 風 ( かぜ ) 》 * *   ①





このカルラ像も 壊れ易そうですので 、

気休めだとは思いつつ 地震対策として 日頃は 個展運搬用の箱に 入れてあります。
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在るべき所に 戻しました。
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遺作展や 県民ギャラリーでの展示会の看板の前で 他の作品たちとの雑居を強いられ 、

” 孤高 ” であるべき 迦楼羅には 気の毒です。

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後ろに廻って 撮ってみました。 風 の 表現に ご注目ください。
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顔を 近くで 撮ってみました。
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別の角度からです。
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右手です。 中指が 1つの穴を 塞いでいます。
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左手です。 こちらからは見えませんが 、こちらも 中指で1つの穴を 押さえています。
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組んだ足と 下した足です。
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そもそも 仏師が " 笛吹きカルラ " を 作ろうと思ったのは

刺激を受けた 【 京都 ・ 三十三間堂 の 迦楼羅像 】 が 笛を吹いているということと・・
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仏師が好きな 北斎の絵の中でも 特に好きな この絵 (↓) の 笛を吹いている童子を

カルラに置き換えて立体化したかったからだと思います。

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現在 アメリカ ワシントンD.C. の フリーア美術館にある 北斎の絵です。



・・・・・・・・・・・・・ 余談になりますが ・・・・・・・・・・・・・・・

わが家の 昔っぽくて狭い居間の 襖には

酔っぱらった仏師が お正月に描いた カルラの絵が 残っています。

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一応 描き終えた時 、自分の描いた絵を見て 一言・・

「 俺って 画才が 全く無いなぁ~・・・ 」

確かに 彫刻家でありながら デッサンは 不得手で 、

頭に浮かんだイメージは 紙には描かず 、油粘土をひねって 表していました。

文字を書くのも 不得手でした。

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量 空 時 風 光 生 と 書いてありますが 、私には 意味が あまり 解りません。



仏師は 字も下手だと 思い込んでいましたから 、なるべく文字を書かなくて済むように

ほとんどの記述は 私にさせていたのですが 、

初めての個展 ( 平成 2年 静岡松坂屋にて ) を 開かせていただいた時に

松坂屋に 声をかけて下さった恩人ともいうべき方が

「 味のある字が書ける筈だから 壁を埋めるつもりで書いてみて ! 」と おっしゃって

大きい色紙を どさっと 持って来てくださいました。

弱り切った仏師は 酒を沢山飲んで酔っ払った上で

それなりに 一所懸命に書きましたら、

意外や 意外・・

その独自性があり、存在感がある文字の 評判も良く、

その色紙を お金を出して 買ってくださる方もいらっしゃいました。


そのことがあってからは 酔っぱらっては " 書家 " になることが ありました。

2回目の個展からは 作品の名札も 木札に自分で書くようになり( 酔っ払った上で ) 、

真似をしようにも 真似が出来ない ユニークな文字の名札が

作品を買って下さった方に 喜んで貰われて行きました。

この襖絵に書かれた文字も お酒の力で 書かれました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



この作品を作ろうとした時 、仏師は 先ず カルラの " 止まり木 " を 探しました。

" 止まり木 " に 合わせた大きさの カルラ像を 作るためです。

知り合いの方が所有の雑木林で 見つけさせていただくつもりでしたが 、

仏師は わが家の崖地に生えている 山桃 の枝が 適していることに気付き 、

山桃に お詫びと お礼を言って 御神酒を供えて 切らせてもらいました。

( 2本に 分かれている枝のうちの 1本を 切らせてもらったので、

山桃の いのちには 関わりませんでしたが・・ )

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カルラが 腰を掛ける所です。

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一番下の 横木の台座は 材料置き場にあった さほど太くない クセのあるクスノキの丸太を

縦に引いて 底を平らにし 、太い枝の跡に 山桃の枝を 差し込む穴を 開けたものです。

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止まり木が 決まってから 油粘土で作った 原型です。

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また 、笛を吹いているカルラの 指使いを ちゃんと 表現するために

親しくしていただいていた 笛の名手でもある 尺八演奏家 縄巻 修己さん に 来ていただき

指の形を 教えていただき 、写真を 何枚も 撮らせていただきました。

そのうちの 2枚です。

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14 ~ 15 年前の 縄巻さんです。



カルラが吹いているのは 能管 ( のうかん ) という笛で 、

カルラが出している音は 「 ぴーー 」 という 鋭い音だそうです。


縄巻さんが 金丸悦朗のために 奏でて下さった音色は

金丸悦朗ホームページ で 2回 聴くことが出来ます。

① 縄巻さんは 遺作展で会場となった寺院の庭で

ずっと 奏でていてくださったのですが、

遺作展を取り上げて下さった TVニュースの中では

遺作となった 《 古ブシ 》 の 画像の後ろに流れる曲を 吹いて下さいました。

② さかのぼって 2007 年の個展では 会場内で 奏でていてくださったのですが 、

その様子が 当時のSBSの報道番組『 4時ら 』で 放送されました。




次回は プロのカメラマン 望月昭さんに 撮っていただいた

同じ 迦楼羅 《 風 》の 写真を 多数 載せさせていただきます。

寸法などは その時に 記載します。








by kanamaru-etsurou | 2017-02-25 17:00 | 金丸作品と共に・・ | Comments(0)

by kanamaru-etsurou