迦楼羅 ( カルラ ) 《 風 》 ①
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《 金丸作品と共に・・ 》
* * 迦楼羅 ( カルラ ) 《 風 ( かぜ ) 》 * * ①
気休めだとは思いつつ 地震対策として 日頃は 個展運搬用の箱に 入れてあります。
遺作展や 県民ギャラリーでの展示会の看板の前で 他の作品たちとの雑居を強いられ 、
” 孤高 ” であるべき 迦楼羅には 気の毒です。
後ろに廻って 撮ってみました。 風 の 表現に ご注目ください。
顔を 近くで 撮ってみました。
別の角度からです。
右手です。 中指が 1つの穴を 塞いでいます。
左手です。 こちらからは見えませんが 、こちらも 中指で1つの穴を 押さえています。
組んだ足と 下した足です。
そもそも 仏師が " 笛吹きカルラ " を 作ろうと思ったのは
刺激を受けた 【 京都 ・ 三十三間堂 の 迦楼羅像 】 が 笛を吹いているということと・・
.
仏師が好きな 北斎の絵の中でも 特に好きな この絵 (↓) の 笛を吹いている童子を
カルラに置き換えて立体化したかったからだと思います。
現在 アメリカ ワシントンD.C. の フリーア美術館にある 北斎の絵です。
・・・・・・・・・・・・・ 余談になりますが ・・・・・・・・・・・・・・・
わが家の 昔っぽくて狭い居間の 襖には
酔っぱらった仏師が お正月に描いた カルラの絵が 残っています。
一応 描き終えた時 、自分の描いた絵を見て 一言・・
「 俺って 画才が 全く無いなぁ~・・・ 」
確かに 彫刻家でありながら デッサンは 不得手で 、
頭に浮かんだイメージは 紙には描かず 、油粘土をひねって 表していました。
文字を書くのも 不得手でした。
量 空 時 風 光 生 と 書いてありますが 、私には 意味が あまり 解りません。
仏師は 字も下手だと 思い込んでいましたから 、なるべく文字を書かなくて済むように
ほとんどの記述は 私にさせていたのですが 、
初めての個展 ( 平成 2年 静岡松坂屋にて ) を 開かせていただいた時に
松坂屋に 声をかけて下さった恩人ともいうべき方が
「 味のある字が書ける筈だから 壁を埋めるつもりで書いてみて ! 」と おっしゃって
大きい色紙を どさっと 持って来てくださいました。
弱り切った仏師は 酒を沢山飲んで酔っ払った上で
それなりに 一所懸命に書きましたら、
意外や 意外・・
その独自性があり、存在感がある文字の 評判も良く、
その色紙を お金を出して 買ってくださる方もいらっしゃいました。
そのことがあってからは 酔っぱらっては " 書家 " になることが ありました。
2回目の個展からは 作品の名札も 木札に自分で書くようになり( 酔っ払った上で ) 、
真似をしようにも 真似が出来ない ユニークな文字の名札が
作品を買って下さった方に 喜んで貰われて行きました。
この襖絵に書かれた文字も お酒の力で 書かれました。
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この作品を作ろうとした時 、仏師は 先ず カルラの " 止まり木 " を 探しました。
" 止まり木 " に 合わせた大きさの カルラ像を 作るためです。
知り合いの方が所有の雑木林で 見つけさせていただくつもりでしたが 、
仏師は わが家の崖地に生えている 山桃 の枝が 適していることに気付き 、
山桃に お詫びと お礼を言って 御神酒を供えて 切らせてもらいました。
( 2本に 分かれている枝のうちの 1本を 切らせてもらったので、
山桃の いのちには 関わりませんでしたが・・ )
カルラが 腰を掛ける所です。
一番下の 横木の台座は 材料置き場にあった さほど太くない クセのあるクスノキの丸太を
縦に引いて 底を平らにし 、太い枝の跡に 山桃の枝を 差し込む穴を 開けたものです。
止まり木が 決まってから 油粘土で作った 原型です。
また 、笛を吹いているカルラの 指使いを ちゃんと 表現するために
親しくしていただいていた 笛の名手でもある 尺八演奏家 縄巻 修己さん に 来ていただき
指の形を 教えていただき 、写真を 何枚も 撮らせていただきました。
そのうちの 2枚です。
14 ~ 15 年前の 縄巻さんです。
カルラが吹いているのは 能管 ( のうかん ) という笛で 、
カルラが出している音は 「 ぴーー 」 という 鋭い音だそうです。
縄巻さんが 金丸悦朗のために 奏でて下さった音色は
金丸悦朗ホームページ で 2回 聴くことが出来ます。
① 縄巻さんは 遺作展で会場となった寺院の庭で
ずっと 奏でていてくださったのですが、
遺作展を取り上げて下さった TVニュースの中では
遺作となった 《 古ブシ 》 の 画像の後ろに流れる曲を 吹いて下さいました。
② さかのぼって 2007 年の個展では 会場内で 奏でていてくださったのですが 、
その様子が 当時のSBSの報道番組『 4時ら 』で 放送されました。
次回は プロのカメラマン 望月昭さんに 撮っていただいた
同じ 迦楼羅 《 風 》の 写真を 多数 載せさせていただきます。
寸法などは その時に 記載します。